クーラーの設定温度は急に上げない
日本人の汗腺は、夏はたくさん汗をかいて能動汗腺を増やし、冬は汗腺を休ませ、梅雨時から発汗機能を高めるというように、季節の変化に応じて、汗腺機能を調節し自然に暑さに順応してきました。しかし、クーラーの普及でこのような自然の「暑熱順化」ができなくなってしまいました。そのため、汗腺を鍛える、汗腺トレーニングという積極的な「短期暑熱順化」が必要となったのです。
※汗腺トレーニングの詳細は、「Column 21 ニオわない「いい汗」をかこう!汗腺トレーニングの方法。」をご覧ください。
汗腺トレーニングで大切なことは、ウォーキングなどの有酸素運動を行うほか、徐々にクーラーに頼らない生活に変えていくことです。しかし、クーラーに依存した生活を改めることは、かなりの困難を伴います。クーラーに依存した人が、急にクーラーを断った生活を送ると熱中症になるリスクが高くなるからです。クーラーの設定温度は、汗腺トレーニングと並行して、3週間くらいかけて徐々に28℃くらいまで上げていくようにしてください。
日陰や玄関先で汗腺を慣らそう
暑い戸外からクーラーの効いた部屋に入ると、皮膚の温度は急激に冷やされるため、皮膚のセンサーが「もう涼しい。汗を止めろ」と脳の発汗中枢に指令を出します。しかし、体の深部の温度はまだ高いままなので、脳は高温の状態が続き脳のセンサーは「まだ暑い。汗を出せ」と指令します。その状態で、再び炎天下へ出ると、皮膚のセンサーが「汗を出せ」と命令します。脳のセンサーはずっと「汗を出せ」とオーダーしていたため、双方の指示により、必要以上の大量の汗をかくことになります。このような急激な温度差を繰り返していると汗腺疲労を起こし、熱中症の危険が高まってしまいます。
そのため、冷房の効いた部屋と暑い戸外へ出入りする際は、戸外より少し温度の低い日陰や玄関などで数分間とどまって、汗腺を暑さや寒さに慣れてから、クーラーの効いた部屋や、気温の高い外に出るといいでしょう。出かける15分前くらいから予めクーラーを切って、室温を上げてから外出するのもおすすめです。
運動前のウォーミングアップが重要なように、汗腺にも慣らし運転が必要なのです。また逆に、クーラーの効いた室内に入ったら、すぐに衣類を1枚羽織ったり、温かい飲み物を口にしたりするように心掛けることも大切です。
汗腺トレーニングだけじゃなく、ニオイチェックもしよう
汗腺トレーニングをすれば、だんだんとニオわない汗をかけるようになっていきます。しかし、油断は禁物。自分のニオイは、自分ではわかりにくいもの。自分ではニオっていないと安心しきっていても、実は周囲にはまだニオっていた、なんてこともあります。そうならないためにも、常日頃から客観的に自分のニオイをチェックしておくことが大切です。